2011-09-14

卒業論文の効能

しばらく前(ひと月程前かな)、仕事の新ネタを考えていて、新しい手法を使ってみようと思ってはみたものの、教科書や人の論文を開いても中身がさっぱり頭に入らず、まぶたが撃沈・・・ということが続いて、なかなか進まなかった。

ところが、最近、ふとしたことで、その手法に関する学部の卒業論文が目にとまり、とりあえず目を通すつもりで読み出したら、これが結構するすると頭に入るので驚いてしまった。

学部の卒業研究のレベルや雰囲気は、分野によって大きく異なると思うが、数学(数理科学)の場合、卒論で新しい仕事が書けるというのは、よほど優秀な人に限られるだろう。自分も含めて、たいていの場合は、既存の研究成果をまとめる+自分もしくは指導教員のアイデアをちょっとつけ加えるといった感じだと思う(自分のアイデアがつけ加えられればそれだけでも立派)。

だからといって、多くの卒論は読む価値がないものかというと、そんなこともない。「既存の研究成果」をまとめるというのが、結構よい情報源になったりする。一応論文であるから、内容は正確であることが求められるし、教科書と異なり、ページ数もある程度抑えるだろうから、要点を簡潔に、わかりやすく述べることも求められる。結果として、そのテーマの背景や予備知識、基本的な内容などに関するあらすじが得られることが期待される。

「期待される」というのは、もちろん、論文の完成度にも依存するわけだが、その分野で名の通った先生が指導されているような場合は、だいたい卒論の質も期待できるだろう。事実、今回、件の論文に一通り目を通した後で、おそらくその論文の筆者が勉強したであろうと思われる(そして自分も読もうとして挫折した)教科書を開いてみたら、同じような内容が載っていたし、しばらく前に読もうとして挫折した別の解説記事も、今度はほぼ答え合わせのように読むことができて、驚いた。

というわけで、卒論も、よい論文を選んで(今回はたまたまヒットしたけど)読むと結構ためになるんだなー、と実感したお話でした。論文の筆者に感謝。今度はこれを使って早く計算してみよう。ではまた明日。

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