2009-01-03

ハイドンの「告別」交響曲

相変わらず更新がもっさりの日記ですが、今年もよろしくお願いします。

お正月というと、私は、恒例のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートをチェックします。といっても、今回の年末年始は、実家へ帰省して、姪っ子とうちのムスメのチビすけ達と過ごしたので、元日の中継をチェックする暇はなく、自宅に戻って、3日の再放送を観ました。

今年はバレンボイムが指揮ということで、まあそれはいいとして、今年がハイドンの没後200年ということで、交響曲第45番「告別」がプログラムに入っているのに注目しました。というのも、この曲、全4楽章構成で、最初の3楽章は普通の交響曲なのですが、最後の第4楽章の最中に、奏者が舞台から1人去り、2人去り、・・・しまいには最後にコンサートマスターと指揮者が残されて曲が終わる、という、普通なら「あり得ない」舞台演出が仕組まれているからです。

なぜこんな演出があるのか?というのは有名な話のようですが、今回一応勉強したので、まとめてみました。

・・・ハイドンが当時仕えていたお殿様(エステルハージ公)は、夏の別荘に家来達を引き連れて過ごしていたが、ある年、この別荘がたいそう気に入り、夏が終わってもなかなか別荘を引き揚げようとしなかった。

家来達はお殿様と一緒に別荘にとどまらなければならない。ハイドンはお殿様お抱えの楽団の楽長だったが、ハイドンをはじめ、楽団員達も、当然、お殿様と一緒に別荘にとどまらなければならないので、その間は家族達にも会えない。

そこで、ハイドンは、この曲を書いてお殿様の前で演奏した。楽団員達の訴えを察したお殿様は、翌日、楽団員達に休暇を与えたとのことである。

こういう舞台演出が映像になることは稀と思われます。もちろんDVDなんかは出るんでしょうけど、私はそれを集める程熱心でもないので、テレビで放送されるのはやはり稀でしょう、それでどんな感じか、じっと観ましたが、思い思いの表情で席を立つ奏者達と、それにうろたえたり、立ち去らないよう懇願したりする指揮者のやりとりが非常におもしろかったです。バレンボイムもなかなかの芸達者だなーと思いました。

一方で、アンコールの定番の「美しき青きドナウ」の前に、ステージの楽団員から「新年おめでとう」のメッセージがあるのですが、その際に、バレンボイムは、世界(特に中東での)平和を求めるスピーチを行いました。年末から始まった、イスラエルのガザ地区侵攻を意識したものと思いますが、ユダヤ人で現在はイスラエルの国籍を持ち、イスラエルとアラブ諸国との和平を目指す発言や音楽活動を積極的に行っている彼の一つの行動として、印象に残りました。

というわけで、今年はなかなか楽しめたコンサートでした。来年はどんなコンサートになるか、期待したいところです。